JR東海は,N700系以来のフルモデルチェンジとなる次期新幹線車両に向けた確認試験車の製作を決定したと発表した.この確認試験車では,次期営業車両に反映する新技術の最終確認を行ない,その後は,東海道・山陽新幹線の更なるブラッシュアップを目指し,技術開発を推進する試験専用車として活用する.
次期新幹線車両の名称は,東海道・山陽新幹線車両として定着した,「N700」の名称に「S」を付けて,「N700S」とする.「S」は,N700系シリーズ中,最高の新幹線車両を意味する「Supreme(最高の)」を表す.「N700S」では,駆動システムに,低損失かつ高温下での動作が可能な次世代半導体「SiC(炭化ケイ素)素子」を採用するとともに,JR東海が独自に進化させてきた走行風冷却の技術を組み合わせることで,駆動システムの大幅な小形・軽量化を実現する.床下機器配置の最適化により,16両編成の基本設計をそのまま用いて12両,8両など,さまざまな編成長の車両とすることができる「標準車両」を実現する.前面形状は,N700系のものを踏襲しつつ,3次元形状を考慮したシミュレーション技術を活用して進化させた「デュアルスプリームウィング形」を採用し,トンネル突入時の騒音を低減し,さらに車体の平滑化や形状見直しにより走行抵抗の低減も図る.
「N700S」の確認試験車は2018(平成30)年3月に完成する予定で,量産車は,2020(平成32)年度を目途に投入する方向で検討が進められている.
写真:「N700S」の先頭車イメージ(標識灯については今後検討される.※JR東海のニュースリリースから)