イギリス,アメリカ,ドイツから日本に輸入された明治時代の蒸気機関車を通して,その生産と流通の構造に目を向け,やがては日本の技術形成に至るまでの過程を明らかにすることで,現在盛んになりつつある日本の鉄道システムと鉄道車両の海外進出,展開が考えられている,これはなかなか示唆に富んだ労作として,特筆すべき一冊になっています. 明治時代の輸入から国産化に至る過程における具体的な機関車の形式や両数,製造所などの明確化は,これまでの機関車の研究家諸氏によってなされてきたことですが,本書ではこれら機関車について,日本にもたらされるまでの取引の実態を明らかにするといった命題のもとで,多岐にわたる事実を掘り起こしています.広く鉄道史に興味をお持ちの皆さんにお薦めです.
著者 | 中村尚史 |
発行 | 吉川弘文館 |
仕様 | A5判(上製) 254ページ |
定価 | 本体3900円+税 |
発売日 | 2016年1月29日 |
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