日立製作所の鉄道システム事業を担う日立レールは,カナダのトロント交通局(Toronto Transit Commission/TTC)から,トロント地下鉄2号線の信号システムをデジタル化する更新プロジェクトを受注したと発表した.
これは,1960年代に導入された従来の信号システムから,無線式列車制御システム「SelTrac™ CBTC」へ更新するもの.
トロント地下鉄2号線(ブロア・ダンフォース線)は,市内を東西26kmにわたって結ぶ31駅の路線で,1日あたり50万人以上が利用している.CBTC技術は1970年代にトロントで開発され,当時のスカボロー線に導入した経緯をもつ.同技術は50年以上にわたり改良が重ねられ,現在は世界40ヵ国以上,100以上の都市交通路線に導入されており,地下鉄2号線に導入されるのはその第9世代にあたる.
導入される「SelTrac™ CBTC」は,安全な列車間隔を維持しながら,列車をより高頻度に運行できるようにするデジタル信号システムで,列車の位置と動きを継続的に監視することで,混雑した都市鉄道ネットワークにおいて,高頻度かつ信頼性の高い運行を実現する.
モジュール化された機器で構成されており,軌道沿いのインフラや現地作業を削減できるため,新技術導入にともなう列車運行への影響を抑制できる特徴をもつ.導入後も5Gを活用した定期的なソフトウェアアップデートや短時間でのモジュール交換が可能であり,将来的な保守コストの抑制や,信号工事にともなう運休・路線閉鎖の必要性を低減する効果が期待されている.
本システムの導入により,同路線の輸送力は最大40%向上し,ピーク時の輸送人員は現在の1時間あたり約23400人から最大33000人へ拡大する見込みとしている.
本システムはさらに,2号線のスカボロー方面への7.8kmの延伸区間に新設されるシェパード駅,マッコーワン駅,スカボロー駅の3駅にも採用される予定である.この延伸により,さらに38000人の住民が地下鉄駅の徒歩圏内に居住することとなり,地域住民の雇用や経済活動へのアクセス向上が見込まれている.
プロジェクトは,日立レールが3000万カナダドルを投資したカナダ本社の「グローバル信号コンピテンスセンター」が設計・試験・提供を担う.トロントの同拠点にはエンジニアを含む1100人以上の従業員が在籍し,バンクーバーやロンドン,ニューヨークなどの主要地下鉄向けにも技術を提供している.
さらに日立は,AIや5Gを活用した次世代信号技術の開発に向け,同拠点へ1億カナダドルの投資を進めており,よりスマートで効率的な鉄道システムの実現を目指している.
画像提供:日立製作所














