
▲システムのイメージ図
南海電気鉄道と日立製作所は,量子コンピューターを疑似的に再現する日立の独自技術「CMOSアニーリング」を活用し,鉄道の乗務員運用計画や車両運用計画を自動で作成・評価するシステムの構築を開始すると発表した.
鉄道の運行計画業務においては,多数の制約条件を考慮する必要がある.乗務員運用計画では,変形労働時間制にもとづく労働時間の制約,休憩・睡眠・食事時間の確保,出退勤や宿泊場所の調整などを行ないながら,1日あたり数百本の列車に乗務員を割り当てている.
また,車両運用計画では,車両形式や編成条件,検査周期,留置線容量などの条件を満たす必要がある.これらの計画業務は経験豊富な担当者の手作業に依存しており,人財不足や技術継承が課題となっていた.
▲従来の乗務員運用計画の作成のようす
「CMOSアニーリング」は,多くの制約条件を同時に考慮しながら最適な組み合わせを短時間で導き出すことを得意としている.2025(令和7)年度に南海線で行なわれた効果検証では,手作業で従来数ヵ月を要していた乗務員運用計画業務を約1週間に短縮できることを確認した.また,車両運用計画業務では,従来約20日間を要していた作業を数日程度に短縮できることを確認している.
この短縮により,ダイヤ改正時の業務負荷軽減のほか,将来のワンマン運転拡大や,なにわ筋線開業に向けた輸送計画,災害時のBCPダイヤ策定における検証作業への活用が想定されている.
▲乗務行路表(一例)
本システムは,日立のデータサイエンティストが,鉄道業界におけるさまざまなシステム構築やサービス開発を通じて培ってきた業務理解やデータ分析の知見を生かし,業務特有の制約条件や業務プロセスを整理・モデル化している.これにより,従来は熟練者のノウハウと手作業に大きく依存していた大規模かつ複雑な計画を,高速かつ高精度に自動作成できるシステムを実現する.
両社は今後,対象路線を南海線・空港線,高野線・泉北線へと拡大し,2027(令和9)年度中の稼働開始を目指してシステムの構築を進める予定.
また,日立は,本システムに用いる技術の性能向上を進め,社会インフラ向けソリューション群「HMAX by Hitachi」などへの適用範囲拡大を図るとしている.
画像提供:日立製作所













