▲ポーランド・クラクフ市電
三菱電機は,鉄道運行の省エネを支援する「鉄道EMS(エネルギーマネジメントソリューション)」において,蓄電システム(ESS)を導入した新サービスの提供に向けたエネルギーマネジメント実証を,2026(令和8)年4月からポーランドのクラクフ市電で開始したと発表した.
これは,デジタル基盤「Serendie®(セレンディ)」を活用し,回生エネルギーの余剰電力を有効活用することで,電力消費の削減と最適化を検証するもので,現地の公共交通事業者であるMPK社および同市道路管理局(ZDMK社)の協力のもと,三菱電機とポーランドの連結子会社であるMEDCOM社が共同で実施する.
現在ポーランドでは,急速な経済成長にともなう電力需要の増加や,燃料価格の高騰,再生可能エネルギーの導入にともなうエネルギーコストの上昇が問題視されている.カーボンニュートラルへの取り組みを進める鉄道事業者においても,運行に必要な電力の抑制や利用効率化,架線電圧の安定化が重要な課題となっていた.
▲実証第三段階におけるESSの鉄道沿線への設置イメージ
実証期間は,2026(令和8)年4月から2028(令和10)年9月までを予定しており,3つの段階を経て進められる.第一段階では,データ分析サービスを用いて電力消費量や余剰回生電力の発生状況,架線電圧の安定状況を分析する.
第二段階では,その分析データをもとにESS導入時の省エネ効果と電圧変動の改善効果を検証し,余剰回生電力を可視化した地図の作成や,最適な設置場所の提案を行なう.
第三段階では,クラクフ市電の沿線に実際にESSを設置し,回生エネルギーを蓄電して走行中のほかの車両へ供給する「力行アシスト」を行なうことで,電力削減量や電圧安定化の効果を実測する計画である.
▲三菱電機の鉄道EMSについて
本実証には,三菱電機が武蔵エナジーソリューションズと共同開発中の,高い出力密度を持ち回生電力の貯蔵・放出に適した次世代蓄電モジュール「Mitsubishi High Power Battery (MHPB)」を搭載したESSが投入される.
実証における役割分担として,三菱電機は実証全体の取りまとめのほか,MHPBとバッテリーマネジメントシステムの設計・製造を担当する.MEDCOM社は,DC/DCコンバーターとESS筐体の設計・製造,最終組立て,現地工事の取りまとめを担う.
なお,本実証は経済産業省の「令和6年度補正グローバルサウス未来志向型共創等事業費補助金(ウクライナ復興支援・中東欧諸国等連携強化)」を利用して実施される.
三菱電機は,本実証で得られた成果をもとに,ESSを導入した鉄道EMSの新サービスの提供を目指している.将来的には,鉄道の電力を沿線地域の工場,ビル,マイクログリッドなどへも融通する構想を掲げており,地域全体のエネルギー最適化や災害時のレジリエンス強化に貢献することを目指すとしている.
画像はすべて三菱電機提供














