鉄道ファン2026年1月号(通巻777号)
『鉄道ファン』2026年1月号
2025年11月20日発売
特別定価1400円(税込)

名鉄など,「AI画像解析とETC2.0を活用した踏切の注意喚起システム」の一般車両向け実証実験を実施

名古屋鉄道 9500系

写真:名古屋鉄道9500系  編集部撮影  犬山検査場新川検車支区にて  2019-10-1(取材協力:名古屋鉄道)

名古屋鉄道・名鉄EIエンジニア・トヨタシステムズ・一般財団法人道路新産業開発機構・東邦電機工業の5社は,AI画像解析とETC2.0を活用した踏切安全のための注意喚起システムに関する一般車両を対象とした実証実験を,2025(令和7)年12月22日(月)から実施すると発表した.

 踏切は,線路と道路が交差する「鉄道における弱点箇所」であり,全国では年間200件程度の事故が発生し,列車の運休や遅延をともなうため社会的な影響が大きい.このような状況に対応するため,交通に関わる事業者が協力し,AI画像解析の活用による事故を未然に防ぐシステム構築を目指す.
 今回の実証実験では,AIで前方道路の混雑状況を検知し,ETC2.0と連携して一般車両に直接注意喚起を行なうことで,事故の未然防止を図るシステムを検証する.AIで前方道路の混雑状況を検知し,ETC2.0と連携して一般車両に対して直接注意喚起する取り組みは全国初となる.
 実証実験は,2025(令和7)年12月22日(月)から2026(令和8)年2月28日(土)までの間,名鉄河和線の住吉町1号踏切(愛知県半田市宮路町:住吉町駅南端)で行なう.

名鉄など,「AI画像解析とETC2.0を活用した踏切の注意喚起システム」の一般車両向け実証実験を実施

▲実証実験のイメージ

 システムは,名古屋鉄道が導入を進めている踏切監視システムに,踏切AI画像解析システムとETC2.0技術を組み合わせたもの.AI画像解析装置が,踏切カメラの映像から前方道路の先詰まり(混雑状況)を検出・解析し,前方道路が混雑時に踏切に進入する一般車両に対して,ETC2.0車載器から「踏切の先詰まりに注意してください」と音声による注意喚起を行なう.これにより,不注意による踏切内の自動車の停滞を抑止し,接触事故の発生防止につなげ,踏切の安全性向上を目指す.
 なお,ETC2.0は,従来のETC機能に加えて,渋滞回避支援や安全運転支援,災害支援情報の提供などの機能を有する新世代形のETCである.
 実証実験における各社の役割は,名古屋鉄道が実験場所の提供とシステムの有効性の検証,名鉄EIエンジニアがシステムの全体設計と設置・導入・試験,無線免許申請,機器の調達,トヨタシステムズが踏切AI画像解析システムの開発,一般財団法人道路新産業開発機構が民間事業者による利用が可能なETC2.0路側機の開発,東邦電機工業が踏切状態監視装置との連携システム開発をそれぞれ担っている.

一部画像は,名古屋鉄道提供

このページを
シェアする