「モバイルSuica」は，携帯電話（フィーチャーフォン）とSuicaを組み合わせ，「Suicaをもっと簡単・どこでも便利に！」をコンセプトとして，2006（平成18）年にサービスを開始した．
　それまでの非接触形ICカードSuicaの機能を携帯電話でも使用できるようになり，鉄道の乗車券としての利用にとどまらず，日常生活のキャッシュレス化を大きく後押しした．
　その後，2011（平成23）年にAndroid™スマートフォンに対応し，さらに，2016（平成28）年にはiPhoneに対応することで，さらに多くの乗客が利用できるようになった．現在もサービスの拡張と利便性向上を続けており，「いつでも、どこでも、キャッシュレスで快適に・シームレスに移動できる」社会の実現を目指し，さらに「移動のデバイス」から「生活のデバイス」へサービスの進化を続けている．

　受賞にあたり，前身であるSuicaカードの「かざす」という直感的な操作性はそのままに，スマートフォンという普及したプラットフォームに移行させたことで，既存ユーザーの操作習慣を崩すことなく利便性を飛躍的に向上させた点や，物理的なカードの紛失リスクやチャージの手間も解消し，私たちの生活に不可欠なインフラとして定着してきた点，機能面でのデザインの洗練の積み重ねはもちろんのこと，「使いやすさ」を重視し，変化する技術やライフスタイルに柔軟に対応し，本質的な価値を提供し続ける姿勢が評価された．

画像はすべてJR東日本提供