鉄道ファン2025年11月号(通巻775号)
『鉄道ファン』2025年11月号
2025年9月20日発売
定価1300円(税込)

日立レール,米国・メリーランド州で新たな鉄道車両製造工場の本格稼働を開始

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日立レール,米国・メリーランド州で新たな鉄道車両製造工場の本格稼働を開始

▲ヘイガーズタウン工場

日立製作所のグループ会社である日立レール社は,米国・ワシントン首都圏北部にあるメリーランド州ヘイガーズタウンに新たな鉄道車両製造工場を建設し,本格稼働を開始したと発表した.

 工場の面積は30万7000平方フィート(約2万9000平方メートル)で,米国・ワシントンD.C.地域,ボルチモア,フィラデルフィアなどの北米各地の顧客向けに,月間20両の鉄道車両を製造可能としている.工場の開設は,日立レールの北米事業の拡大を示すものであり,日立グループ全体の成長を反映している.現在,日立グループのグローバルな売上収益の1/6が北米からのもので,すでにワシントンD.C.地域,ボルチモア,フィラデルフィア向けを含む複数の鉄道車両の製造が計画され,合計600両以上の車両が納入される予定.
 総投資額は1億ドル(約148億円)で,このうち3000万ドル(約44億円)以上がデジタル強化に投資されており,鉄道や産業分野向けの「HMAX」を含めたソリューションをショーケース化している.また,サプライチェーンや製造工程をリアルタイムで監視する仕組みに加え,3Dプリンティングによるスペア部品や工具のオンサイトでの製造,製品品質に関する完全な透明性を実現している.

日立レール,米国・メリーランド州で新たな鉄道車両製造工場の本格稼働を開始

▲ヘイガーズタウン工場

 変革を実現する世界最先端の技術を導入することで,働く人々に配慮しつつ,デジタルで最適化された次世代型の工場を実現している.約1300名の雇用のうち,最大460名の日立レールの従業員がAIやスマート製造技術の革新を進める役割を担い,次世代の製造業でのキャリアを提供していく.本工場により,年間3億5000万ドル(約518億円)以上の経済効果が創出され,米国・ワシントンD.C.,メリーランド州,バージニア州地域に大きな恩恵をもたらすとしている.
 太陽光パネルの活用と,100%再生可能エネルギーを調達する契約により,二酸化炭素排出ゼロを実現している.敷地内には豊富な植栽が施されており,AIシステムによってエネルギー消費の効率を常時監視・最適化している.また,開設初日から埋立廃棄物ゼロで運営されており,太陽光発電によって年間約80万kgの二酸化炭素削減が見込まれている.

日立レール,米国・メリーランド州で新たな鉄道車両製造工場の本格稼働を開始

▲カスタマーエクスペリエンスセンター(Customer Experience Center)

 工場には,「One Hitachi」のテクノロジーを体感できる,カスタマーエクスペリエンスセンターを併設している.来場者は,工場に導入された品質・工程管理を最適化する各種デジタル技術に加え,最新の信号システムから,AIで鉄道アセットの最適化を図る革新的な「HMAX」プラットフォームまで,「Lumada3.0」を体現する日立の幅広いソリューションについて理解を深めることができる.
 日立グループは,本工場の高度なソリューション群をショーケース化し顧客やパートナーに広く紹介することで,北米をはじめとした顧客の課題解決を「One Hitachi」で進めるとともに,「HMAX」をさらに幅広い産業・事業分野に拡大・展開していくとしている.

各金額は1ドル=148円で換算
写真はすべて日立製作所提供

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