鉄道ファン2025年9月号(通巻773号)
『鉄道ファン』2025年9月号
2025年7月18日発売
特別定価1400円(税込)

羽田エアポートライン・東急,新空港線整備に向けた営業構想の認定を国土交通省に申請

東急電鉄 7000系

写真:東急電鉄7000系  編集部撮影  長津田検車区にて  2007-11-25(取材協力:東急電鉄)

 羽田エアポートラインと東急電鉄は,国土交通省に対し,新空港線整備に向けた速達性向上計画の認定を申請したと発表した.

 この速達性向上計画は,都市鉄道等利便増進法にもとづき2025(令和7)年4月に認定を受けた整備構想・営業構想に沿って申請するもの.東急多摩川線の矢口渡駅から蒲田駅(事業区域:連絡線0.8km,連絡施設0.9km)を経由し,京浜急行電鉄本線・空港線の京急蒲田駅付近までの連絡線(新空港線)と連絡施設を新設する.
 新空港線と東急多摩川線は直通運転を行ない,一部の列車については多摩川駅から東横線に乗り入れる計画となっている.あわせて,東横線から乗り入れる列車が停車できるよう,東急多摩川線の多摩川駅と下丸子駅の乗降場(プラットホーム)整備などを行なう.なお,連絡線(新空港線)と連絡施設は,羽田エアポートラインが整備・保有し,東急電鉄が使用して営業する.
 蒲田—蒲田新駅(仮称)間の運行頻度は,朝最混雑時間帯が毎時20本程度,そのほかの時間帯が毎時10本程度を想定する.車両編成数は3両または8両とする.運賃については,東急電鉄の運賃体系を基本とし,蒲田—蒲田新駅(仮称)間は加算運賃を設定する.
 総事業費は約1248億円で,2025(令和7)年10月から2042(令和24)年3月(残工事期間含む)までを整備予定期間とし,令和20年代前半の運行開始を予定している.

羽田エアポートライン・東急,新空港線整備に向けた営業構想の認定を国土交通省に申請

▲計画概要図

 この整備による所要時間については,中目黒—京急蒲田付近までが現行から約13分短縮した約23分,自由が丘—京急蒲田付近までが現行から約22分短縮した約15分を想定している.
 都市鉄道等利便増進法は,都市鉄道の既存路線を有効活用して行なう,速達性の向上と駅施設の利用円滑化を対象とした鉄道整備手法を定めた法制度で,営業主体(鉄道事業者など)と整備主体(第3セクターなど公的主体)を分離する「上下分離方式」が採用されている.この制度においては,整備主体が国と地方公共団体の補助を受け,残りの事業費を資金調達して施設整備を行ない,営業主体は運行により得られる受益相当額を施設使用料として整備主体へ支払うことになっている.
 同法に定められた手続きに従い,国土交通大臣による構想認定を受けた場合には,認定構想事業者として,速達性向上計画を作成・提出することになる.同計画の大臣認定をもって,鉄道事業法における事業許可を受けたものとみなされる.

一部画像は,羽田エアポートライン・東急電鉄提供

このページを
シェアする