
写真:JR東日本E5系量産車 編集部撮影 新幹線総合車両センターにて 2010-12-14 (取材協力:JR東日本)

写真:JR東日本E235系 編集部撮影 東京総合車両センターにて 2015-3-28(取材協力:JR東日本)
JR東日本は,2025(令和7)年度内に,国内で初めて新幹線と首都圏の在来線の信号通信設備復旧支援システムに生成AIを導入すると発表した.

JR東日本では2023(令和5)年3月から,首都圏の在来線信号設備の一部において,故障発生時に指令員の判断を支援するAIを活用したシステムを導入している.現行システムから「無線通話から生成AIが自動的に作業経過を作成」,「解析に使用するAIを機械学習から生成AIに変更」,「マニュアルなど基本情報インプットの簡素化」の3点を改良することで,推定原因,対応方針,復旧見込時刻を表示し,社員が最適な手順で復旧作業を実施できるよう支援する.
なお,本システムはBIPROGY株式会社とともに開発している.

ATOS「首都圏在来線の運行管理システム(東京圏輸送管理システム)」は,多くの機器を複雑に組み合わせて構築しているため,マニュアルなどでの解決が難しい場合は,専門知識を持つ社員やメーカー技術員などとやりとりしながら原因究明を行なう必要があり,復旧までに時間がかかる場合がある.
2025(令和7)年9月から,ATOSのトラブル発生時に原因を解析し対応策を提案することができる生成AIの実証実験を,日立製作所と行なうこととした.ATOSのような大規模な鉄道運行管理システムへの生成AIの活用は国内初めての取り組みとなる.

導入による効果については,最適な手順での作業により,故障から復旧までの時間短縮を見込んでいる.原因特定の難しい複雑な事象において,復旧までの時間を従来の約半分に短縮できるとしている.提示された「復旧見込時刻」をもとに指令員が判断することで,運転見合わせ時の「運転再開見込時刻」を乗客へ早期に提供することが可能になる.生成AIを活用することで,経験の浅い社員が担当した場合においても,高度な専門知識を持つ社員が対応した場合と同等の復旧プロセスが可能であると見込んでいる.
今後は,導入される復旧支援システムをさらに機能向上するとともに,ほかの分野でも導入することを検討している.
一部画像はJR東日本提供