
写真:JR北海道H100形量産車 加藤 勝撮影 苗穂運転所にて 2019-12-13(取材協力:JR北海道)
JR北海道は,2024(令和6)年度の事業計画を発表した.
輸送施設の安全性の向上を目的に,老朽化した車両の置換えとして733系の新製,車両故障対策として789系やキハ261系などの重要機器取替え工事を進める.線路設備については,橋枕木・分岐枕木の合成枕木化やロングレール化などによる軌道強化を引き続き進める.電気設備については,函館本線の運行管理システムを更新する.また,青函トンネルき電用特高ケーブルや函館本線の電車線支持物と室蘭本線の変電所などの設備更新,踏切の保安度向上対策を進める.列車の運休により日中の作業時間を確保する「線路集中メンテナンス日」を設定し,集中的かつ効率的な修繕を実施する.
鉄道施設の整備に関する計画では,軌道強化や高架橋の耐震補強,車両の新製など安全基盤の強化を進めるほか,排雪モータカーロータリーの強馬力化などにより,冬期の安定輸送を確保する.
駅のバリアフリー化や,スマホ定期券のエリア拡大とスマホ乗車券の導入など,旅客サービスの向上を図るほか,経営自立に向け業務システムの改修など,生産性の向上を図る設備の整備を進める.
省力化・省人化に向け,駅においては,駅業務体制の見直しの検討を進めるほか,オペレーターが遠隔サポートを行なう「話せる券売機」の設置を拡大する.スマホ定期券のエリア拡大や,スマホ乗車券の試行導入の検討を進める.列車運行においては,ワンマン運転拡大に向けた検討を進める.エ務・電気においては,車上撮影画像データを用いた線路総合巡視の導入を検討するほか,電気設備状態監視システムの導入を拡大する.老朽化が進む苗穂工場について,作業環境を一新するため,リニューアルの検討を進める.
「北海道MaaS」について,グランドデザイン案の実装に向けた具体的な検討を行なうほか,2次交通事業者と連携した電子チケットの拡大,国土交通省の補助事業を活用した実証事業に取り組む.

写真:JR北海道733系3000番代 編集部撮影 札幌運転所にて 2014-6-16(取材協力:JR北海道)
札幌圏—新千歳空港アクセス輸送については,快速“エアポート”用733系の増備など,今後の需要の拡大を見込んだ輸送力強化策を検討するほか,安定輸送対策として,千歳線にて増加する野生動物の線路内侵入を防ぐべく,鹿止め柵の設置を拡大する.「北海道ボールパーク Fビレッジ」隣接地の千歳線における新駅設置に向けた工事を進める.
収益拡大に向けては,「えきねっと」を利用した指定席「uシート」のチケットレス座席指定券の販売促進や,「北海道ボールパーク Fビレッジ」について,試合実施日の輸送力確保と試合展開にあわせた観客輸送を引き続き実施する.
都市間輸送については,需要変動にあわせて価格設定を行なう在来線イールドマネジメントシステム効果を最大化させるため,2025(令和7)年内に特急“カムイ”・“ライラック”・“オホーツク”・“宗谷”・“サロベツ”の全車指定席化を実施する.

写真:JR北海道 キハ261系5000番代「はまなす編成」 編集部撮影 苗穂運転所にて 2020-8-31(取材協力:JR北海道)
観光需要の創出としては,北海道各地の沿線地域と連携した観光開発を継続する.観光列車では,“HOKKAIDOLOVE! ひとめぐり号”,“くしろ湿原ノロッコ号”,“花たび そうや”号,“富良野・美瑛ノロッコ号”,“SL冬の湿原号”などのほか,東急グループと連携した「THEROYAL EXPRESS」を運行する.
また,新たに,全道周遊形を含めた観光列車「赤い星」「青い星」を製作し,2026(令和8)年度運行開始に向けて車両改造,商品開発・販売などの準備を進める.このほか,航空会社や旅行会社と連携した商品造成の継続や,車両基地での撮影会などの集客力のあるイベントの企画・販売,異業種との連携を強化する.国や北海道の支援を受けた「はまなす編成」や「ラベンダー編成」,H100形のラッピング車両を活用した周遊企画などを展開する.

写真:JR北海道H5系 編集部撮影 函館総合車両基地にて 2014-11-20(取材協力:JR北海道)
北海道新幹線は,2025(令和7)年3月に北海道新幹線の整備に関する有識者会議において,札幌延伸の完成・開業はおおむね2038(令和20)年度末ごろとなる見込みであることなどが発表されたことを受け,開業遅れによる影響の把握に努め,適切に対処する.営業主体として建設主体である鉄道・運輸機構に対して必要な協力を行ない,1日も早い開業に向けて準備する.
札幌駅部の工事として,新幹線駅舎工事,幹在乗換こ線橋工事,新幹線高架橋増設工事,耐震補強工事を進めるとともに,在来駅リニューアル工事に本格着手する.札幌開業時の社員の教育・養成や在来線の輸送体系,業務運営体制などの検討も引き続き行なう.北海道などの関係者が進める「北海道新幹線札幌延伸にともなう鉄道物流のあり方に関する有識者検討会議」への参画を引き続き行なうなど,並行在来線のあり方に関する検討に協力する.
高速化に向けた取組では,特定時期(ゴールデンウイーク,お盆,年末年始)に,青函共用走行区間時間帯区分方式による高速化実施区間の拡大に向けた関係者との協議・検討を進める.また,新函館北斗—札幌間での最高時速320km化の工事を鉄道・運輸機構と連携して進める.
安全·安定輸送の確保について,青函共用走行区間において,JR貨物などの関係機関との協議により,必要な保守間合いを引き続き確保する.収益拡大に向けて,2026(令和8)年3月の北海道新幹線開業10周年にあわせたプロモーションや観光開発に取り組む.JR東日本と共同で実施している「ツガルカイセン」プロモーションの継続展開や,同社と連携した北海道新幹線のイールドマネジメントを実施する.
このほか,新青森—新函館北斗間で実施している新幹線の定時性や速達性を活かした新幹線荷物輸送の拡大に向けて,2025(令和7)年3月のダイヤ改正から対象列車の拡大と受付即日輸送といった新サービスを導入する.

写真:JR貨物EH800形 編集部撮影 五稜郭機関区にて 2019-8-1(取材協力:JR貨物)
経営自立に向けた取組では,JR北海道単独で解決困難な課題に関係者とともに取り組む.「JR北海道単独では維持困難な線区」では,「鉄道よりも他の交通手段が適しており,利便性・効率性の向上も期待できる線区」である留萌本線(深川—石狩沼田間)について,2026(令和8)年4月の鉄道事業廃止にともなう新たな交通体系の検討・準備を進める.
「利用が少なく鉄道を持続的に維持する仕組みの構築が必要な線区」については,監督命令にもとづき,2026(令和8)年度末までに事業の抜本的改善方策を確実に取りまとめるため,フリーパスの発売や沿線住民へのモニター調査などの実証事業を含む8線区の実行計画の取組を,地域の関係者と一体となって進める.JR北海道独自の取組として,「北海道レールパス」と「札幌—富良野エリアパス」によるインバウンド需要の取込みや観光列車の運行などによる観光誘客に取り組む.
コスト削減策として,取組結果や基本指標,線区の特性に応じた目標の達成度合いなどを検証し,PDCAサイクルによる必要な見直しを実施する.持続的な鉄道網の確立に向け,データとファクトにもとづく地域の関係者との二次交通も含めた,あるべき交通体系に関する徹底的な議論を実施するとともに,維持する仕組みの構築に向けJR北海道としての考えを取りまとめ,関係者との議論を開始する.
「青函トンネルの維持管理」については,トンネルとトンネル固有施設に係る修繕などの業務(付随事業)の役割・責任分担について,今後も関係者と協議を継続する.「貨物列車との共用走行」の問題解決に向けては,引き続き,実施可能な方策について関係者と検討・協議を進める.
詳しくは,JR北海道ニュースリリースに掲載されている.
写真はすべてイメージです.