鉄道ファン2025年4月号(通巻768号)
『鉄道ファン』2025年4月号
2025年2月20日発売
定価1300円(税込)

京王井の頭線で自動運転(ワンマン運転)の実証試験を3月中旬から開始

京王井の頭線で自動運転(ワンマン運転)の実証試験を3月中旬から開始

▲井の頭線1000系(自動運転設備搭載車両)

京王電鉄は,自動運転設備を活用したワンマン運転の実現に向けて,井の頭線において,自動運転(ワンマン運転)の実証試験を,2025(令和7)年3月中旬から開始すると発表した.

京王井の頭線で自動運転(ワンマン運転)の実証試験を3月中旬から開始

▲自動運動設備搭載の運転台

 試験は井の頭線全線(12.7km)を対象に,自動運転設備を搭載した1000系(1778編成)を使用し,回送列車で走行試験を実施する.なお,当該車両を通常の営業運転に使用する場合は、当面の間,運転士・車掌が乗務し、運転士による手動運転とする.

京王井の頭線で自動運転(ワンマン運転)の実証試験を3月中旬から開始

▲ATCと自動運転の走行イメージ

 自動運転システムは,自動列車制御装置(ATC)の指示速度以下となるように目標速度を定め,自動的に加速・減速制御などの機能を備える.出発時は,ATCが進行を示し,ホームドア・車両扉がすべて閉まるなどの条件を満たしたときに,出発ボタンを操作することで列車が出発する.
 駅間では,ATCの指示速度のほか,あらかじめ記憶している曲線などの線路条件により定めた走行パターンに従って乗り心地の良い運転を行なう.踏切などの異常時においてもATCにより自動的に停止するほか,運転士による手動ブレーキ操作を受け付けることで適切に対応する.また,惰行走行が多くなるようにすることで省エネ運転を目指す.
 停車駅が近づくと,駅の定位置停止パターンを発生させ,自動的に定位置に停車する.ブレーキについては,従来の7段階から28段階にすることで,きめ細やかなブレーキ操作を実現し,停止精度と乗り心地向上を図る.停車後に,運転士用ドアスイッチにより車両の扉とホームドアを連動させて開閉する.

京王井の頭線で自動運転(ワンマン運転)の実証試験を3月中旬から開始

▲車内案内システム更新

 車体デザインについては,ホームドア整備にともない,ピクトグラム(車いすステッカー・ベビーカーステッカー)と正面の車両番号をより見やすくなるよう上部に移設するほか,自動運転設備搭載車両を区別するため,車体外観にアクセントライン・シンボルマークを追加する.デザインは若手社員が考案したもので,シンボルマークは井の頭線の「井」の字をモチーフとし,編成ごとのカラー名称をあしらっている.また,乗務員室と客室間の仕切り窓を一部拡大し,子どもが前面展望を楽しめるようにする.

京王井の頭線で自動運転(ワンマン運転)の実証試験を3月中旬から開始

 車内トラブルの発生時に乗務員が操作することで,最寄りの駅に強制的・自動的に定位置に停車させる機能を導入する.また,この機能を操作すると自動的に車内ビジョンに「近くの駅に停車します」と表示される.
 車内案内システムについては,多言語表記が可能な車内案内表示器に更新するほか,開いているドアをチャイム音で知らせる装置を設置する.

画像はすべて京王電鉄ニュースリリースから

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