JR東日本は,多方面からの羽田空港へのダイレクトアクセスを実現する「羽田空港アクセス線(仮称)」の計画について,「東山手ルート」と「アクセス新線」の工事の起工式を6月に行ない,本格的な工事に着手すると発表した.
羽田空港アクセス線(仮称)のうち,2031(令和13)年度の開業を目指し,今回,着手する「東山手ルート」と「アクセス新線」は,現在休止している大汐線の橋りょうや高架橋などの既存構造物を有効活用し,東京駅と羽田空港の直結,宇都宮線・高崎線・常磐線方面からの所要時間短縮や乗換解消・低減など広範なエリアからの空港アクセス改善を目的としている.東京駅から羽田空港へは,現在,鉄道を利用した場合30分程度要するところ,乗り換えなく約18分で到着することが可能となる.
今回,工事に着手する区間のうち,東海道線接続区間では,田町駅の東京方にある山手線引上げ線を撤去し,山手線外回り,京浜東北線南行,東海道線上りを順次移設して,東海道線上下間にスペースを確保する.そのスペースを用いて,開削トンネルやシールドトンネルを構築することで,東海道線と大汐線(現在休止中)が接続する線路を敷設する.
1998(平成10)年から鉄道事業を休止している大汐線では,橋りょうや高架橋などの既存構造物を有効活用し,土木・軌道・電気の各設備について健全度を調査した上で,必要な改修や改良を実施する.
東京貨物ターミナル内では,JR東日本が保有している用地を用いて,羽田空港アクセス線の運行に必要となる車両留置線や保守基地線を整備する.
東京貨物ターミナルから羽田空港に至る新設区間では,公共施設,道路,運河下を通過するルートで,最大深度約50m,延長約4.2kmの複線シールドトンネルを構築し,新たな線路を敷設する.
羽田空港の新駅は,第1旅客ターミナルと第2旅客ターミナルの間の空港構内道路下に,最大幅員約12m,延長約310mの島式1面2線のホームを有する地下駅を設置する.ホームは地下1階の高さであり,第2旅客ターミナルへ高低差なく,移動することが可能となる.なお,空港島内のシールドトンネル,開削トンネルは国土交通省が空港整備事業として整備する予定.
写真はいずれもJR東日本提供