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鉄道総研「S型弾性まくらぎ直結軌道」を開発

鉄道総研,S型弾性まくらぎ直結軌道を開発

▲開発された「S型弾性まくらぎ直結軌道」の完成写真

公益財団法人鉄道総合技術研究所(以下,鉄道総研)は,弾性まくらぎ直結軌道(以下,弾直軌道)の敷設コスト低減を目指した「S型弾性まくらぎ直結軌道」を開発したと発表した.
 「弾直軌道」とは,まくらぎをゴムなどの弾性材を介してコンクリート道床(コンクリート製の支持構造)で支える軌道で,1998(平成10)年に鉄道総研が開発した「D型弾直軌道」は,優れた防振性能から幅広く使用されている.しかし,コンクリート道床の施工時において,煩雑な鉄筋配置作業と型枠の正確な位置調整に手間がかかっていた.今回,弾直軌道の敷設コストを低減してさらなる適用拡大を図るため,施工が容易で低コストな「S型弾直軌道」が新たに開発された.

S型弾性まくらぎ直結軌道

▲「S型弾直軌道」の構造

まくらぎ側面の突起(せん断キー/Shear key)で横荷重を支える構造とすることで,コンクリート道床を従来の弾直軌道よりもスリム化し,材料費を低減したほか,短繊維補強コンクリートを用いるとともに,無筋のコンクリート道床に適した構造にすることで,ずれ止め筋以外の鉄筋を不要とした.また,型枠をまくらぎ端部とせん断キーに当てるだけで,コンクリート道床の正確な形状が得られるようにすることで,型枠位置調整作業を簡略化した.
 今回開発した「S型弾直軌道」は,従来の「D型弾直軌道」と比較して,作業量を減らすことができるため,軌道工事の工期を40%以上短縮可能である.さらに材料費も抑制できるため,コンクリート道床の施工コストを60%低減(軌道全体の敷設コストにして20%低減)できる.
 なお開発においては,実物大載荷試験やシミュレーション(非線形FEM解析)に基づく性能照査を行ない,列車荷重に対して十分な耐力を有することを確認するとともに,モータカー走行試験などによって「D型弾直軌道」と同等の基本性能を持つことを確認した.「S型弾直軌道」は2016(平成28年)末に鉄道事業者で実際に施工され,今後,半年以内に設計・施工の手引きを取りまとめ,さらなる実用展開を図っていく予定.

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